ミリ波対応フレキシブルケーブルの定格電力

技術部 福田 裕実

ミリ波対応のフレキシブルケーブルには、外部導体の絶縁材としてFEPが使用されます。FEPは耐熱性に優れたシース材であるため、ケーブルの定格電力に余裕を持たせることができます。
 
·周囲温度25℃時の定格電力

  冷却
自然対流 強制空冷
シース材質 FEP FEP
耐熱温度 200℃ 200℃
周波数 1GHz 55W 120W
18GHz 18W 40W
40GHz 15W 33W
50GHz 15W 32W

 
·定格電力の算出モデル
フレキシブルケーブルの内部導体、絶縁体、外部導体を一体の発熱体とみなし、高周波信号の減衰による損失をすべて熱に変換します。この熱は、外部導体から樹脂シース表面まで熱伝導によって移動し、樹脂シース表面から空気中へ放熱されます。シース表面からの熱伝達と熱放射による放熱と、ケーブル内部での発熱が平衡する温度を算出します。この平衡温度がシース材の耐熱温度と等しくなる電力を、定格電力としています。
 
·算出に利用した物性値
FEP材の熱伝導率:0.25W/mK
自然冷却の対流熱伝達率:5W/m2K
強制空冷の対流熱伝達率:25W/m2K
シース表面の放射率:0.9
強制空冷の風速:0.5m/s
 
これらの値は一般的な代表値であり、ケーブルの実際の設置環境によって大きく変動する可能性があります。ケーブルを選定する際は、十分な余裕を見てください。

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