マイクロ波対応フレキシブルケーブルの定格電力

技術部 福田 裕実

マイクロ波対応フレキシブルケーブルは、外部導体の絶縁に樹脂を使用します。樹脂シースの材質は、ケーブルの耐熱温度、柔軟性、耐環境性などを考慮して選択されます。ケーブルの定格電力は、シースの耐熱温度によって制限されます。
 
·周囲温度25℃、自然冷却時の定格電力

  ケーブル種別
SWF-18 SWF-30
シース材質 PVC PVC
耐熱温度 105℃ 105℃
周波数 1GHz 23W 45W
4GHz 13W 25W
8GHz 10W 20W
18GHz 8W 15W

 
·周囲温度25℃、強制空冷時の定格電力

  ケーブル種別
SWF-18 SWF-30
シース材質 PVC PVC
耐熱温度 105℃ 105℃
周波数 1GHz 55W 110W
4GHz 34W 65W
8GHz 25W 50W
18GHz 21W 39W

 
·定格電力の算出モデル
マイクロ波対応フレキシブルケーブルの内部導体、絶縁体、外部導体を一体の発熱体とみなし、高周波信号の減衰による損失をすべて熱に変換します。この熱は、外部導体から樹脂シース表面まで熱伝導によって移動し、樹脂シース表面から空気中へ放熱されます。シース表面からの熱伝達と熱放射による放熱と、ケーブル内部での発熱が平衡する温度を算出します。この平衡温度がシース材の耐熱温度と等しくなる電力を、定格電力としています。
 
·算出に利用した物性値
PVC材の熱伝導率:0.2/mK
自然冷却の対流熱伝達率:5W/m2K
強制空冷の対流熱伝達率:25W/m2K
シース表面の放射率:0.9
強制空冷の風速:0.5m/s
 
これらの値は一般的な代表値であり、ケーブルの実際の設置環境によって大きく変動する可能性があります。ケーブルを選定する際は、十分な余裕を見てください。

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