波長短縮率

技術部 福田 裕実

同軸ケーブルのカタログには「波長短縮率」という項目があります。これは、電気信号(電磁波)がケーブルの中を進む速さを示す値で、真空中の光速に対してどれだけ遅くなるかを表しています。
 
ケーブルの中には絶縁体(樹脂)が入っていますが、この材料は信号の進む速さを遅くします。たとえば波長短縮率が70%なら、信号は真空中の約7割の速さで進みます。
 
波長短縮率が小さいほど信号はゆっくり進み、ケーブルの中での波長も短くなります。これを「波長が短縮される」といいます。ただし、これは品質が悪くなるという意味ではありません。電気信号の伝わり方が変わるだけで、特性インピーダンスが一定で整合が取れていれば、信号はきれいに届きます。
 
なお、高周波や高速デジタル通信のようにタイミングがシビアな用途では、この「信号の進む速さ(波長短縮率)」が重要になります。波長短縮率を知ることは、ケーブルの性能を正しく理解する第一歩です。

関連情報