WSCを活用した手軽な非常用電源の作り方

企画開発課 等々力修司

最近、ポータブル電源がさまざまな場所で販売されていますが、それらは手に入りやすい価格になってきました。ただし、依然として一般的には高価なものです。
 
災害時の備えとして使用するためには、商用電源以外で充電できることが重要です。その点で、最も手頃なコストで充電できるのがソーラーパネルを活用した方法です。
 
そこで、今回はワカ製作所の「ソーラー充電モジュールWSC10008」を使った簡単な非常用電源の作成方法を紹介します。
 
必要なものは以下の通りです:
・ソーラー充電モジュール WSC10008
・リン酸鉄リチウムイオン電池 12V系
・ソーラーパネル
・DC-ACインバーター
・ケーブル類
これらを用意すれば、簡単に非常用電源を構築できます。
 

 
・・・ですが、これだけでは何を買ったら良いか分かりません。ここからは、もう少し具体的に説明します。
 
 
選び方は用途に応じてインバーターや電池の大きさ(容量)を決めるのですが、すべてを大きくしてしまうと費用に際限がありません。
 
先ずは「何を・何時間使うか?」を想定してインバーターと電池の大きさを決めましょう。
例えば、「テレビを3時間観たい」とします。
 
ここで43型の液晶テレビの消費電力は大体150[W]前後です。機種によって結構違うので
確認しましょう。ここでは150[W]とします。
 
液晶テレビ以外に使う予定がなければインバーターの定格出力[W]を決めます。
150[W]の出力では少々不安なので200~400[W]の中から選定します。
今回は300[W]としてみます。
 
次に電池の容量を決めます。
150Wを3時間なので、450Wh(ワットアワー)以上であればOKですが、ここは少し余裕を持たせた方が良いです。理由は使っていくうちに電池は劣化したり、温度によっても容量は低下します。
また、インバーターでの変換効率も影響しますので容量通りの時間を駆動できません。
 
容量は(費用の許す限り)大きい方が良いのですが、ここでは仮に450[Wh]の1.2倍の
540[Wh]としてみます。
 
電池容量は[Wh]ではなく[Ah]で表されますので必要な電池容量を計算してみます。
WSCが充電できる電池は12[V]系です。リン酸鉄リチウムイオン電池の12[V]系の定格電圧は12.8[V]ですので、
 540[Wh] ÷ 12.8[V] ≒ 42[Ah]
となりました。
 
つまり50[Ah]程度の容量があれば充分と試算されます。
 
よって「テレビを3時間観られる非常用電源装置」を作るのに必要なものは
 ・充電モジュール WSC10008 1台
 ・ソーラーパネル 50-100[W]
 ・リン酸鉄リチウムイオン電池12.8V 50[Ah] 1個
 ・DC-ACインバーター 300[W]
・ケーブル類
と具体的に何を選べばよいか段々分かってきました。
 
まだソーラーパネルの大きさが決まっていませんが、これについては次回以降のコラムでその他の注意点を含めて説明したいと思います。

関連情報